
私は以前、どうしても夜食がやめられない時期がありました。
意思が弱いから、我慢が足りないから――そう思って自分を責めていましたが、原因はまったく別のところにありました。
それは睡眠の質の低下です。
考えてみれば当たり前のことですが、そもそも夜中に起きなければ夜食を食べることはありません。
今回は「睡眠の質を改善することで、なぜダイエットがうまくいくのか?」そのメカニズムを紐解いていきます。
実は人は、夜ぐっすり眠っているだけでも約300kcalを消費していると言われています。
さらに質の良い睡眠をとることで、脂肪を分解する成長ホルモンの分泌が促され、筋肉量の維持を助け、基礎代謝が上がり、痩せやすい身体へと近づいていきます。
反対に、睡眠不足になると食欲を増幅させるホルモン「グレリン」が増え、食欲を抑えるホルモン「レプチン」が減少すると言われています。
その結果、無意識のうちに食べ過ぎてしまったり、高カロリーなものを欲しやすくなってしまうのです。
また、睡眠の質が良くなると、高脂質・高カロリーな食品への欲求が自然と抑えられ、健康的な食生活を送りやすくなることも分かっています。
では、睡眠の質はどのようにして改善すればよいのでしょうか。
まず見直してほしいのが、朝の食事です。
「夜の話なのに、朝食?」と驚かれるかもしれませんが、実はここがとても重要なポイントです。
睡眠に欠かせないホルモンであるセロトニンやメラトニンは、必須アミノ酸の一つであるトリプトファンから作られます。
必須アミノ酸とは、体内で合成できず、食事から摂取する必要がある9種類のアミノ酸のことです。
トリプトファンは、牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品、大豆製品(豆腐・納豆)、卵、肉、魚、バナナ、ナッツ類などに多く含まれています。
さらに、米などの炭水化物やビタミンB6と一緒に摂ることで、脳内で「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが作られやすくなります。
つまり、納豆ご飯に味噌汁、目玉焼きといった和朝食は、実はとても理にかなっているのです。
日本人の伝統的な食生活には、先人の知恵がしっかり詰まっていますね。
トリプトファンを含む朝食をとり、朝日を浴びることで、夜のメラトニン分泌が正常に働き、体内時計を前倒しにリセットできると言われています。
朝食を食べない人は、入眠時間が遅くなり、睡眠の質も下がりやすい傾向があります。
次に見直したいのが夕食です。
就寝の3時間前までに夕食を済ませておくことで、深部体温の低下がスムーズになり、眠りにつきやすくなります。
また、入浴は就寝2時間前までに済ませるのがおすすめです。
38〜42℃のぬるめのお湯に10〜20分浸かり、一時的に上がった深部体温が下がるタイミングで眠りにつくと、自然な入眠につながります。
成人に必要な睡眠時間は7〜9時間が目安ですが、大切なのは時間よりも質です。
翌朝疲れが残らず、日中に強い眠気を感じない状態が「自分に合った睡眠時間」と言えます。
夜中に何度も目が覚める、夢ばかり見る、歯ぎしりがひどい、朝から肩こりがある――
これらの症状がある方は、睡眠の質が低下している可能性があります。
その原因の一つが夜間低血糖です。
日中の強いストレスや糖質不足によって、寝ている間に血糖値が下がりすぎると、血糖値を上げるためにコルチゾールというホルモンが分泌されます。
コルチゾールは体を興奮させる作用があるため、途中で目が覚めたり、歯ぎしりを引き起こし、睡眠の質を下げてしまいます。
睡眠の最適な形は人それぞれです。
「〇時間寝なければいけない」「みんながやっているから」と無理をする必要はありません。
大切なのは、自分の体の声を聞きながら、無理のない日常生活を送ること。
睡眠を整えることは、ダイエットだけでなく、心と体の健康を支える大切な土台になります。